高野山編・第5弾。
今回は、一行がお世話になる宿坊、西室院からのレポート。
ホテルや旅館と異なり、お出迎えして下さったのは、小僧さんでした。
お寺の、しかも夜という事もあって、日常生活では絶対に味わう事のない
本物の静寂が、辺りを包んでいます。
道路や交通網の発達で、近頃は高野山で宿泊する参拝者は減りましたが、
伝統にのっとったきめ細かいサービスが噂になり、外国からの観光客や、
歴史好きの若い女性の宿泊客が、次第に増えつつあるそうです。
高野山にある100箇所以上の寺院の内、現在50余りのお寺が、宿坊として
一般の宿泊客を受け入れて下さいます。
***********
四国のロケは全て日帰りだったので、宿泊の作法が気になった杉本さん、
こうゆうさんに尋ねたところ、遍路宿の玄関にはバケツとタオルがあり、
それで金剛杖をきれいにするそうです。
金剛杖とは、弘法大師空海さまの分身。
つまり、お大師さまのおみ足を洗わせて頂く、という事でもあります。
そして、洗った金剛杖を床の間に立てるのですが、これは言うまでもなく
お大師さまにお休み頂く事を意味し、宿によっては、そのための座布団が
用意されている場合もあります。
それら一連の事が終わってはじめて、お遍路さんは休息出来るのです。
歩き遍路で、心身共にクタクタの中、宿に着けばすぐにでも寛ぎたいのを
敢えて抑えて、こうした作法を繰り返す事で、自らを鍛え上げて行けば、
たとえ極限状態にあっても、周りに気遣いの出来る人間となるでしょう。
宿坊にあっても、動作の全てが修行の一環。
「どこかで、お大師さまが見ていらっしゃる」
…という意識を持ちながら、一つ一つ行動する事が重要です。
***********
さて、皆さんお待ちかね、米裕さんの創作小噺『凸凹同行記』。
和泉国は横山村から、はるばる紀伊の国へとやって来た、14 歳のお照。
高野山が女人禁制と知り、宿の一室で泣き崩れます
心配した宿屋の主人が事情を尋ねると、身寄りのない彼女を育ててくれた
亡き養父母のために、灯籠をお供えしたいとの事。
『ある長者が一万基の灯籠を高野山に奉納する』という噂を聞いたお照は
亡き人の菩提を弔うには何よりと考え、女の命とも言うべき黒髪を切って
お金を工面し、お大師さまに奉納しようと思っていたのだそうです。
その話を隣の部屋で聞き、心を打たれた、円蔵房というお坊さん。
前夜、夢枕に立った高野山中興の祖・祈親上人の声に従いやって来たのは
この娘を助けるためだったのだと悟り、力添えをする事を決意します。
3月21日。
高野山奥の院、新灯籠建立供養。
施主の薮坂長者は、一族を引き連れて参詣し、灯りの点る一万基の灯籠に
満足気な様子でしたが、その中に、見知らぬ小さな灯籠を見つけました。
円蔵房を呼びつけて事情を聞いた薮坂長者は、その貧弱で小さな灯籠が、
施主である自分の供えた灯籠よりも高い場所にある事が気に入らぬ様子。
取り除く様に命じても、従う者は誰もいません。
激怒した薮坂長者、自らその小さな灯籠を消そうと進み出た、その瞬間!!
一陣の風が吹き、灯籠堂の灯りは一瞬にして消え去りました。
…祈親上人の奉納した灯籠と、お照の献じた小さな灯籠の2つ
を除いて。
信仰とは、権力でも、お金の力でも出来るものではありません。
お大師さまは、真の心こそ受け給うのです
***********
宿坊の朝も、これまた静寂の中から始まります
部屋にはテレビも備え付けられてはいますが、折角の機会です。
携帯電話の電波も入らない場所、下界の情報は全てシャットアウトして、
他では決して味わう事の出来ない、この静けさを楽しみたいものです。
7時からのお勤めに参加した一行、先祖供養とこれからの安全を祈願し、
御住職から法話を頂きました。
100を超えるお寺が密集する、聖地・高野山。
その全てのお寺が、同じ時刻に、一斉にお勤めをしています。
「朝、散歩していたら、仏さまのお声が聞こえる」
…と言った人もいるそうです。
日帰りと、一泊。
時間にすれば、たった一日の差です。
しかし、高野山の夜、そして朝を味わうという事は、その僅かな差よりも
もっと深くて豊かな体験を、必ずもたらしてくれるでしょう
***********
・・・という訳で、今回のダイジェストはこの辺で。
次回は、いよいよ最終回です。
詳しくは、FMくらしきのOAと、Podcastでチェック!!
今回は、一行がお世話になる宿坊、西室院からのレポート。
ホテルや旅館と異なり、お出迎えして下さったのは、小僧さんでした。
お寺の、しかも夜という事もあって、日常生活では絶対に味わう事のない
本物の静寂が、辺りを包んでいます。
道路や交通網の発達で、近頃は高野山で宿泊する参拝者は減りましたが、
伝統にのっとったきめ細かいサービスが噂になり、外国からの観光客や、
歴史好きの若い女性の宿泊客が、次第に増えつつあるそうです。
高野山にある100箇所以上の寺院の内、現在50余りのお寺が、宿坊として
一般の宿泊客を受け入れて下さいます。
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四国のロケは全て日帰りだったので、宿泊の作法が気になった杉本さん、
こうゆうさんに尋ねたところ、遍路宿の玄関にはバケツとタオルがあり、
それで金剛杖をきれいにするそうです。
金剛杖とは、弘法大師空海さまの分身。
つまり、お大師さまのおみ足を洗わせて頂く、という事でもあります。
そして、洗った金剛杖を床の間に立てるのですが、これは言うまでもなく
お大師さまにお休み頂く事を意味し、宿によっては、そのための座布団が
用意されている場合もあります。
それら一連の事が終わってはじめて、お遍路さんは休息出来るのです。
歩き遍路で、心身共にクタクタの中、宿に着けばすぐにでも寛ぎたいのを
敢えて抑えて、こうした作法を繰り返す事で、自らを鍛え上げて行けば、
たとえ極限状態にあっても、周りに気遣いの出来る人間となるでしょう。
宿坊にあっても、動作の全てが修行の一環。
「どこかで、お大師さまが見ていらっしゃる」
…という意識を持ちながら、一つ一つ行動する事が重要です。
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さて、皆さんお待ちかね、米裕さんの創作小噺『凸凹同行記』。
和泉国は横山村から、はるばる紀伊の国へとやって来た、14 歳のお照。
高野山が女人禁制と知り、宿の一室で泣き崩れます
心配した宿屋の主人が事情を尋ねると、身寄りのない彼女を育ててくれた
亡き養父母のために、灯籠をお供えしたいとの事。
『ある長者が一万基の灯籠を高野山に奉納する』という噂を聞いたお照は
亡き人の菩提を弔うには何よりと考え、女の命とも言うべき黒髪を切って
お金を工面し、お大師さまに奉納しようと思っていたのだそうです。
その話を隣の部屋で聞き、心を打たれた、円蔵房というお坊さん。
前夜、夢枕に立った高野山中興の祖・祈親上人の声に従いやって来たのは
この娘を助けるためだったのだと悟り、力添えをする事を決意します。
3月21日。
高野山奥の院、新灯籠建立供養。
施主の薮坂長者は、一族を引き連れて参詣し、灯りの点る一万基の灯籠に
満足気な様子でしたが、その中に、見知らぬ小さな灯籠を見つけました。
円蔵房を呼びつけて事情を聞いた薮坂長者は、その貧弱で小さな灯籠が、
施主である自分の供えた灯籠よりも高い場所にある事が気に入らぬ様子。
取り除く様に命じても、従う者は誰もいません。
激怒した薮坂長者、自らその小さな灯籠を消そうと進み出た、その瞬間!!
一陣の風が吹き、灯籠堂の灯りは一瞬にして消え去りました。
…祈親上人の奉納した灯籠と、お照の献じた小さな灯籠の2つ
を除いて。
信仰とは、権力でも、お金の力でも出来るものではありません。
お大師さまは、真の心こそ受け給うのです
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宿坊の朝も、これまた静寂の中から始まります
部屋にはテレビも備え付けられてはいますが、折角の機会です。
携帯電話の電波も入らない場所、下界の情報は全てシャットアウトして、
他では決して味わう事の出来ない、この静けさを楽しみたいものです。
7時からのお勤めに参加した一行、先祖供養とこれからの安全を祈願し、
御住職から法話を頂きました。
100を超えるお寺が密集する、聖地・高野山。
その全てのお寺が、同じ時刻に、一斉にお勤めをしています。
「朝、散歩していたら、仏さまのお声が聞こえる」
…と言った人もいるそうです。
日帰りと、一泊。
時間にすれば、たった一日の差です。
しかし、高野山の夜、そして朝を味わうという事は、その僅かな差よりも
もっと深くて豊かな体験を、必ずもたらしてくれるでしょう
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・・・という訳で、今回のダイジェストはこの辺で。
次回は、いよいよ最終回です。
詳しくは、FMくらしきのOAと、Podcastでチェック!!
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