到着早々、思わずこうゆうさんの口から出た「お疲れ様」の一言
前回の藤井寺から、曲がりくねった細い山道を、車で2時間。
地図上のキロ数以上の厳しさに苦しみながら…
特に杉本さんは車酔いに苦しみながら、ようやく辿り着いた、
第十二番札所、摩盧山・焼山寺。
周囲を杉の巨木に囲まれ、本当に山の奥深くへとやって来た…
そんな実感がヒシヒシ湧いてくる、美しい風景を眺めつつ、山門へ
歩を進める一行。
**********
山越えの度に災厄が降りかかり、人々は足止めを余儀なくされた、
阿波一番の難所であるこの地。
お大師さまが麓で身を清め、足を踏み入れられた当時は、山全体が
炎に包まれていたそうです。
この炎、山に棲む大蛇が口から放っていたもので、お大師さまは、
虚空蔵菩薩さまのお力を借りて、大蛇を退治されたそうです。
**********
山全体を御神体としていたお大師さまの時代、そこに近づくには、
様々な障碍があった事は想像に難くありませんが、それらの困難が
『大蛇』として表現されているのでしょう。
一方、車に揺られて、実際にこの地へとやって来たこうゆうさんは
ここまで辿り着くため登って来た、くねくねと続く山道そのものが
大蛇だ、と思ったそうです。
札所へ向かう道の厳しさを、大蛇に例えているとも考えられます。
**********
ところで、今回の札所である焼山寺。
お大師さまが遭遇した災厄が、そのままお寺の名前となっており、
何とも縁起が悪い…そんな印象を受けます。
しかし、山号を見ると、『摩盧山』。
『摩』は、仏さまのお力を表します。
そして『盧』とは、水とか、力を与える液体のこと。
水と火、全体を見ると、うまくバランスのとれたお名前なのです。
そして、かつて人々を苦しめた大蛇が、お大師さまのお力によって
良き方に転じ、今は皆にお陰を下さる事を表しているのでしょう。
**********
米裕さんの創作小噺『凸凹同行記』、たけやんとごんたの二人は、
八十八箇所でも有数の難所、藤井寺から焼山寺へ続く険しい山道、
通称『遍路ころがし』を進んでいます。
二人が休憩した柳水庵は、かつてここを通りがかったお大師さまが
行き倒れの旅人を救うために柳の枝を地に刺すと、水が湧き出た…
という伝説があり、今でも水は枯れずに湧き続けています。
これから二人の向かう焼山寺は、山を七巻き半するほどの大蛇が、
人々を寄せ付けなかったという伝説がありますが、これはこの地で
苦行の日々を送っていた修験者が、神聖な行場である山へ、人々が
立ち入る事を拒んでいた、という事実を表現しているそうです。
因みに焼山寺は、役行者小角(えんのぎょうじゃおづの)の開創。
この人、孔雀明王の呪法を身につけ、自由自在に空を飛べたとか。
…そんな話をたけやんから聞いたごんた。
孔雀となって空を飛ぼうとしますが、「コケコッコー!!」って…。
**********
焼山寺の大師堂は、取材当時は立派な木造の建物に立替中でした。
本堂の屋根は銅葺きですが、これは落ち葉の掃除や、除雪の都合を
考えての事。
屋根の形状や材質で、その土地の気候や立地を知る事が出来ます。
こちらの御本尊は、大蛇退治に活躍された虚空蔵菩薩さま。
仏教ではよく『空』とは何ぞや?という話題になりますが、これは
入れもの・器(うつわ)…『全てを包み込むもの』の事です。
人間のスケールを、よく『器が大きい・小さい』と表現しますが、
これが正に『包み込む力=包容力』の事を表しています。
また、読みを『そら』に転じれば、大自然を包み込む空の事です。
『虚空』とは、無限に広げた『空(くう=器)』の事。
『蔵』とは、たくさんの宝物が納められる場所。
仏さまの智慧という、この上ない宝物を、限りなく多く包み込んで
お持ちの方、それが虚空蔵菩薩さまです。
因みに御真言は…
『のうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか』。
数ある御真言の中にあって、未だにその意味が解明されていない、
謎の多い御真言だそうです。
**********
焼山寺でのお参りを納めた一行は、3キロほど下った場所にある、
『杖杉庵』を訪れました。
歴史上、お遍路を初めて行った『衛門三郎』が亡くなった場所が、
この杖杉庵です。
伊予の極悪非道な豪族・衛門三郎が、一夜の宿を請うお大師さまを
門前払いにし、托鉢用の鉄鉢を叩き割ったところ、ほどなくして、
8人の我が子を次々に亡くしてしまいます。
自らの罪業を深く反省した衛門三郎、お大師さまの足跡を辿って、
巡礼の旅に…これが『お遍路』の始まりです。
お四国21周目にして、この地でようやくお大師さまに巡り合い、
自らの行いを懺悔すると、お大師さまから罪業の消えた事を聞き、
衛門三郎は息絶えます。
お大師さまは、衛門三郎の杖を墓標として埋葬しました。
この杖がやがて根付いて杉の大木となり、現在に至っています。
この『墓標にもなる杖』、すなわち『金剛杖』のルーツです。
尚、お大師さまは衛門三郎を埋葬するに当たり、『衛門三郎再来』
と記した小石を握らせたのですが…このお話は、また今度。
…という訳で、今回のダイジェストはこの辺で。
詳しくは、FMくらしきのOAと、Podcastでチェック!!
前回の藤井寺から、曲がりくねった細い山道を、車で2時間。
地図上のキロ数以上の厳しさに苦しみながら…
特に杉本さんは車酔いに苦しみながら、ようやく辿り着いた、
第十二番札所、摩盧山・焼山寺。
周囲を杉の巨木に囲まれ、本当に山の奥深くへとやって来た…
そんな実感がヒシヒシ湧いてくる、美しい風景を眺めつつ、山門へ
歩を進める一行。
**********
山越えの度に災厄が降りかかり、人々は足止めを余儀なくされた、
阿波一番の難所であるこの地。
お大師さまが麓で身を清め、足を踏み入れられた当時は、山全体が
炎に包まれていたそうです。
この炎、山に棲む大蛇が口から放っていたもので、お大師さまは、
虚空蔵菩薩さまのお力を借りて、大蛇を退治されたそうです。
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山全体を御神体としていたお大師さまの時代、そこに近づくには、
様々な障碍があった事は想像に難くありませんが、それらの困難が
『大蛇』として表現されているのでしょう。
一方、車に揺られて、実際にこの地へとやって来たこうゆうさんは
ここまで辿り着くため登って来た、くねくねと続く山道そのものが
大蛇だ、と思ったそうです。
札所へ向かう道の厳しさを、大蛇に例えているとも考えられます。
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ところで、今回の札所である焼山寺。
お大師さまが遭遇した災厄が、そのままお寺の名前となっており、
何とも縁起が悪い…そんな印象を受けます。
しかし、山号を見ると、『摩盧山』。
『摩』は、仏さまのお力を表します。
そして『盧』とは、水とか、力を与える液体のこと。
水と火、全体を見ると、うまくバランスのとれたお名前なのです。
そして、かつて人々を苦しめた大蛇が、お大師さまのお力によって
良き方に転じ、今は皆にお陰を下さる事を表しているのでしょう。
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米裕さんの創作小噺『凸凹同行記』、たけやんとごんたの二人は、
八十八箇所でも有数の難所、藤井寺から焼山寺へ続く険しい山道、
通称『遍路ころがし』を進んでいます。
二人が休憩した柳水庵は、かつてここを通りがかったお大師さまが
行き倒れの旅人を救うために柳の枝を地に刺すと、水が湧き出た…
という伝説があり、今でも水は枯れずに湧き続けています。
これから二人の向かう焼山寺は、山を七巻き半するほどの大蛇が、
人々を寄せ付けなかったという伝説がありますが、これはこの地で
苦行の日々を送っていた修験者が、神聖な行場である山へ、人々が
立ち入る事を拒んでいた、という事実を表現しているそうです。
因みに焼山寺は、役行者小角(えんのぎょうじゃおづの)の開創。
この人、孔雀明王の呪法を身につけ、自由自在に空を飛べたとか。
…そんな話をたけやんから聞いたごんた。
孔雀となって空を飛ぼうとしますが、「コケコッコー!!」って…。
**********
焼山寺の大師堂は、取材当時は立派な木造の建物に立替中でした。
本堂の屋根は銅葺きですが、これは落ち葉の掃除や、除雪の都合を
考えての事。
屋根の形状や材質で、その土地の気候や立地を知る事が出来ます。
こちらの御本尊は、大蛇退治に活躍された虚空蔵菩薩さま。
仏教ではよく『空』とは何ぞや?という話題になりますが、これは
入れもの・器(うつわ)…『全てを包み込むもの』の事です。
人間のスケールを、よく『器が大きい・小さい』と表現しますが、
これが正に『包み込む力=包容力』の事を表しています。
また、読みを『そら』に転じれば、大自然を包み込む空の事です。
『虚空』とは、無限に広げた『空(くう=器)』の事。
『蔵』とは、たくさんの宝物が納められる場所。
仏さまの智慧という、この上ない宝物を、限りなく多く包み込んで
お持ちの方、それが虚空蔵菩薩さまです。
因みに御真言は…
『のうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか』。
数ある御真言の中にあって、未だにその意味が解明されていない、
謎の多い御真言だそうです。
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焼山寺でのお参りを納めた一行は、3キロほど下った場所にある、
『杖杉庵』を訪れました。
歴史上、お遍路を初めて行った『衛門三郎』が亡くなった場所が、
この杖杉庵です。
伊予の極悪非道な豪族・衛門三郎が、一夜の宿を請うお大師さまを
門前払いにし、托鉢用の鉄鉢を叩き割ったところ、ほどなくして、
8人の我が子を次々に亡くしてしまいます。
自らの罪業を深く反省した衛門三郎、お大師さまの足跡を辿って、
巡礼の旅に…これが『お遍路』の始まりです。
お四国21周目にして、この地でようやくお大師さまに巡り合い、
自らの行いを懺悔すると、お大師さまから罪業の消えた事を聞き、
衛門三郎は息絶えます。
お大師さまは、衛門三郎の杖を墓標として埋葬しました。
この杖がやがて根付いて杉の大木となり、現在に至っています。
この『墓標にもなる杖』、すなわち『金剛杖』のルーツです。
尚、お大師さまは衛門三郎を埋葬するに当たり、『衛門三郎再来』
と記した小石を握らせたのですが…このお話は、また今度。
…という訳で、今回のダイジェストはこの辺で。
詳しくは、FMくらしきのOAと、Podcastでチェック!!
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