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2024/04/26 01:40 |
【58番】作礼山・仙遊寺《放送内容》
今回のお参りは第五十八番札所、作礼山・仙遊寺です。

山門を横目に見ながら山道を車で上ると、本堂裏の立派な駐車場に到着。
境内はさほど広くありませんが、町中の賑やかな札所とは違った趣きで、
山上の道場独特の凛とした空気が漂っています。

***********

山号である作礼山の『作礼』とは、『礼』を『作(な)』す事

神が山に上っては、一刀三礼で、御本尊の千手観音像を彫り上げたという
伝説が元になっています。

また、寺号の起源については、ここで読経三昧の日々を送っていた方が、
ある日突然、姿を消してしまった事に由来すると言われています。

この方が自称したわけではありませんが、全てを投げ打って没頭する姿が
周囲の人の目には、超人的な『仙人』と映ったのでしょう。

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さて、皆さんお待ちかね、米裕さんの創作小噺『凸凹同行記』。

漁師のヨヘイが、仙遊寺で厄年の祈祷をしてもらったというツルマツに、
「何か変わった所はなかったか?」と、しきりに聞きますが、ツルマツは
何も気付いていない様子。

実は、祈祷につかうお寺の太鼓が、虎の皮に張り替えられたとの事。
でも、伊予の国に、虎などが棲んでいるはずがありません。

「アレは、雷様の腰巻きに違いない!」

・・・などという説まで飛び出しましたが、虎と雷様、果たしてどちらが
現実的なのでしょうか?

そんな話をしている所へ、同じく漁師の五郎兵衛がやって来ました。

この五郎兵衛、何か自分の気に入らない事があると、他人のせいにして、
言いがかりばかりつけるので、周りの皆から嫌われています。

「お前らが先に漁に出たから、俺の取り分が少なくなった!」

二人の顔を見るなり早速の言いがかりですが、関わり合いになるのが嫌で
無視を決め込むヨヘイとツルマツ。

相手にされない五郎兵衛、悪態をつきながら、仕方なく船を漕ぎ出して、
沖へと漁に向かいますが、群がるカモメに向かって、

「俺の魚を横取りするな!

・・・と、ここでも言いがかりをつける五郎兵衛。
しかし、カモメは群れても、魚は全く上がりません。

対岸からは、ずっと仙遊寺の太鼓の音が響いて来ています。

「あの太鼓がうるさいから、魚が逃げてしまうんだ!」

陸へ上がり、仙遊寺へと向かった五郎兵衛は、隠し持っていた出刃包丁で
太鼓の皮を切り刻んで、一目散に山道を駆け下りました。

ところが、慌てて走った五郎兵衛は、坂の途中で転んだ時に、出刃包丁が
自分の腹に深く突き刺さって、絶命してしまいました。

それ以来、この坂は『五郎兵衛坂』と呼ばれるようになり、人々に対し、
『悪い心を起こしてはだめ』
という戒めになっています。

***********

かつて、この仙遊寺と、もう一ヶ所の遠方のお寺を兼務する住職がいて、
一匹の忠犬を飼っていました。

遠く離れた二ヶ寺の間を、この忠犬はお使いとして活躍していましたが、
それぞれのお寺の鐘の音を聴いて、行き来の判断をしていたようです。

ところがある日、両方のお寺の鐘が、同時に鳴りました。

どうすればよいか分からなくなり、動けなくなった忠犬は、悩んだ末に、
目の前の池に飛び込み、命を落としてしまいました。

真面目に、一途に励む姿の、尊く有り難い姿。

仙遊寺近くに今も残る犬塚池は、そんな大事なことを、我々人間に向って
語りかけているように思えます。

***********

最後に、寺号にも使われている『遊』の字について。

一般的な感覚からすると、『遊ぶ』=『遊興、Play』と考え
がちです。
しかし、仏教における『遊』の意味は・・・

『ある境地に到達した人が、余裕をもって物事を見つめ、悟る。』

・・・という事です。

分かりやすいところで言えば、『宇宙遊泳』での使われ方が、この意味に
最も近いかもしれません。

***********

・・・という訳で、今回のダイジェストはこの辺で。

詳しくは、FMくらしきのOAと、Podcastでチェック!!
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2009/09/07 23:24 | Comments(0) | TrackBack() | 放送内容

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